「勝つ」より「続けられる」ことを大事に!

「試合より大事なことって、あるんです」
昨日、ちょっと懐かしい顔ぶれが突然やって来ました。
野球、バスケット、サッカー、それぞれ違うユニフォームを着た子どもたちが、飛び入りで院に現れたのです。
「おー、久しぶりやんか!」
そう声をかけると、みんなニコッと笑って、でもどこか痛そうな顔。
成長期の子どもたちにとって、身体はまさに未完成の“建設現場”。
筋肉も骨も関節も、発展途上。大人のようにはまだ動けません。
でも、クラブチームや部活では、そんなこと関係なし。
「明日試合やから出なアカン」「休んだらレギュラー取られる」
そんなプレッシャーの中で、子どもたちは黙って痛みを我慢しているのです。
もちろん、部活やスポーツは素晴らしい経験になります。
仲間と協力すること、目標に向かって努力すること、勝って嬉しい、負けて悔しい、そんな感情を知ること――
でもね、「試合に出たら治る」とか「若いから大丈夫」なんて、昭和の武勇伝みたいな話は、もう令和では通用しません。
なかには、「親が送り迎えできへんから、休めない」とか、「チームに人数が足りんから出てくれって言われた」って話も聞きました。
お気持ちはよーくわかります。
でも、その場しのぎの対応が、将来の大きな代償になることがあるのです。
実は、僕自身も学生時代は野球に明け暮れていました。
投げすぎで肩を壊し、腰も痛め、それで何試合も棒に振った経験があります。
「あのとき、誰かが止めてくれてたら…」
そう思うことが、今でもあります。
だから、今この仕事をしています。
ケガを抱えて悩む子どもたちを、ひとりでも多く救いたい。
無理をする前に、ちゃんと身体を休めることの大切さを伝えたい。
「勝つ」より「続けられる」ことを大事にしてほしいのです。
ここで、指導者の皆さん、そして保護者の皆さんに、ちょっとだけお願いです。
1. 「がんばれ」は魔法の言葉じゃない
子どもたちは、親や先生に「がんばれ」って言われると、めっちゃがんばります。
でも、がんばった結果、ケガしてしまったら?
長い目で見たら、せっかくの才能がそこでストップするかもしれません。
2. チームの都合より、子どもの未来
「うちはレギュラーがギリギリやから、あの子がいないと困るんです」
そんな声も聞きます。でもね、その子が無理して悪化させたら、結局もっと長くチームを離れることになります。
「無理せんとき」って言ってくれる指導者の存在が、どれだけ子どもたちを救うか、計り知れません。
3. 「病院行っても湿布だけやろ?」って言わないで
それ、ほんまによく聞きます(笑)
でも、湿布だけで済ませてきた結果、何年も悩んでる大人が山ほどいるんです。
僕ら治療家は、そうならないように「今」必要なケアをしているんです。
定期的なケアは、ケガの予防にもなりますよ!
4. 子どもに「休む勇気」を与えてください
「今日だけは休みたい…」そう思っても、「サボりと思われるかも」「怒られるかも」と言えない子が多いんです。
「体調悪かったら、言っていいんやで」
「ケガしてたら、無理に出んでええよ」
その一言が、子どもの人生を守るんです。
僕の院に来る子たちは、みんな一生懸命です。
でも、痛みを我慢して頑張る姿を見ると、胸が苦しくなります。
僕が小学生のとき、肩が痛いのに「お前、気合が足らん!」って怒鳴られながら投げてた記憶が、ふとよみがえります。
そのときはそれが当たり前でした。
でも今なら、はっきり言えます。
「その気合、未来につながってますか?」
どうか、子どもたちの“今”だけじゃなく、“その先”を一緒に見てやってください。
いつまでも楽しく運動ができる身体をつくるために、ケガのサインを見逃さないであげてください。
そして、必要ならいつでも僕らを頼ってください。
試合はまた来ます。でも、子どもの身体はひとつしかありません。
「休んでもええんやで」
「しんどかったら、言ってええんやで」
その言葉が、子どもたちの背中をそっと支えてくれますように。
この院長日記を通じて、ほんの少しでも「休むことは悪じゃない」と思ってもらえたら嬉しいです。
今日も、子どもたちの笑顔と未来を守るために、全力で向き合います。
何か真面目な話してしまいましたわ(笑)